Exhibitions
2022
新直子展 I'm here ー画廊からの発言「新世代への視点2022」ー
【会場】Gallery K / 東京
【会期】2022年7月25 ー8月6日
昨年、私は大きな発作を経験した。
その中で、気を失うことはなかったが、意識が飛びそうな感覚や、身体が裏返るような感覚を長時間味わった。
自身の身体は得体のしれない何かで、意識はここにあるのかどこにあるのか分からない、
そんな経験だった。
その後割と早く日常生活に戻ることはできたが、心身共に大きく影響が残っていた。
そんな中での家族からの抱擁が、とても衝撃的だった。
その時「確かに私はここにいる」と強く感じたのだ。
意識はしていなかったが、それまで私はばらばらで曖昧な状態だったのだと思う。
自分の輪郭がはっきりしていくのが分かり、安心感を覚えた。
私は、“圧倒的な力で満ち蠢き、決して把握することなどかなわない不確かな世界と、その中で確かに感じられる自身の存在や生命、自然の営み”を主題に制作してきた。
その軸は現在も変わらないが、
そんな中、自身の存在がひどく曖昧に感じられる体験をしたことから、今回の展示では「個としての存在や境界」そしてそれらに「触れる、触れられる」ということに着目している。
何かに触れるということは、触れられるということでもあり、お互いを確かめ合う行為だ。
それは人でも、他の生物やモノでも同様で、物理的な意味だけでなく、自身や他の存在を知る行為なのだと思う。
またそれと同時に、私たちの存在の輪郭は肉体的なかたちだけではなく、精神的な状態やあらゆる感覚の及ぶ程度等によって成っていて、その境界は常に変化しているのかもしれない。
feeling – 物理的・心理的な感覚、印象、知覚、触感 -